コーポレートブランディング事例 (5)
株式会社七沢荘



温泉業界自体の景況が芳しくない中、七沢荘も例外ではなく、ここ数年で徐々に売り上げが下がりつつある傾向にあった。また都心と箱根の間に位置する本厚木は、温泉目当ての観光客が通り過ぎてしまう地域であり、駅からもバスで30分かかるという立地のため、集客には苦労していた。さらに、縄文気功という独自の気功術を生み出すなど、カリスマ性を持った初代社長が会長職に退き、2代目の社長が実際の経営を行いはじめた時期でもあった。そのような過渡期に直面していた七沢荘では、従業員のモチベーションを高め、一つの方向に向かって進めていくためのインナー向け指針、そして旅館の内観デザインやアメニティグッズなどのアウトプットを含めたブランドの再構築が求められていた。


まずは、宿泊客を装い5日間滞在し、その後社長、会長、女将を含めた経営層と主要な従業員へのヒアリングを通して、内部の意識調査を行った。そこで見えてきたのは、従業員の視線の向き先がお客様ではなく、経営層に向いてしまっているという問題。それを解決すべく、まずは七沢荘がどのような旅館なのかを関係者に再認識させるために七沢荘のコンセプトワード「宇宙と地中から元気をもらう宿」を策定。このコンセプトワードを軸に、旅館のロゴマークや、従業員がお客様の方を向いて仕事をするためのクレド、そしてタオルや浴衣、従業員用のユニフォーム、送迎用のバスのラッピングまで統一してデザインしていった。



売り上げ増加はもちろんのこと、何よりも効果を感じられたのは、経営層を含め、働く従業員の意識が変わったこと。コンセプトワードやロゴマークのように、常に笑顔を絶やさず、お客様に向かって100%のサービスを自らが楽しんで提供できるようになった。当初は経営に悩みを抱いていた2代目社長も、自分の進むべき方向がより明確にすることができた。そのインナーの意識改革は自然と温泉の雰囲気にも表れ、数字として顕著に表れ始めている。その変化はツイッターなどのSNSを通しても広がり、伝統的な温泉旅館とは異なり、地域の人や大学生などの若者が日帰り入浴で訪れるなど、新しいマーケットをつくり出している。






















