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プロフィール

内沼 晋太郎(うちぬましんたろう)

ブックコーディネーター/クリエイティブディレクター。
1980年生まれ。一橋大学商学部卒業。
2003年、本と人との出会いを提供するブックユニット「book pick orchestra」を設立。
その後「book room」や「文庫本葉書」といった数々のプロジェクトを手がけ、
平行して自身の「本とアイデア」のレーベル「numabooks」を設立し、現在に至る。

本との出会いとキッカケ。

たまたまふらっと立ち寄った本屋で見つけた本。周囲で話題になっている本。他人から勧められた本。好きな人が読んでいた本。たとえ同じ本でも、きっとその出会い方やキッカケは様々だ。本を読むことよりも、音楽を聴いたり、友達と話したりしている方が楽しいという人もいるだろう。そんな人にこそ、本に出会ってほしい。小説、雑誌、哲学書、科学書、どんなジャンルの本でもいい。本の面白さを知ってほしい。そのためにnumabooksは、アパレルショップやカフェ、ホテルといった、一見本とは関係がなさそうな場所に本棚を作るなどして、今までにはない本との出会いの「場」をつくっている。

いま、本の面白さを伝える人がいない。

中学生から高校生まではミュージシャンになりたかったという内沼さんだが、大学2年生のときに、自分のつくる音楽に魅力を感じられなくなり、ミュージシャンになることを諦める。夢を追いかけるうえで、挫折というのはきっと誰もが通る道だろう。「なにかになる人って、そういう壁を乗り越えられる人。継続できる人だと思うんですよね。僕は音楽ではそれができなかった」と、内沼さん。ミュージシャンを諦め、大学に入った当初から音楽を含めあらゆるサブカルチャーに影響を受け、その「受け皿」となる雑誌に興味を持ち始める。音楽に関して自分にやれることは見つからなかったけど、本でなら自分にできることがあるのではないか。今本を読まない人だって、ほんとはどこかで読みたいと思っている。そんな人たちに向けて、本の面白さを伝える人がいない。だったら自分がその「伝える人」になればいい。それこそが、内沼さん、そしてnumabooksの出発点だった。

考えるのはいつも、本を手に取る人のこと。

numabooksはカフェやアパレルショップといった、直接本とは関係がないように思える場所に本棚をつくることを主な仕事としている。クライアントにインタビューを重ね、イメージを引き出し、クライアントのお店に合った本棚をつくる。その過程において一番楽しいときはどんなときかと聞くと、内沼さんは「本を本棚に並べるときですね。単純に本が好きなので、本が入ったダンボールが何十箱も積んであるだけで嬉しくなりますね」と、本当に嬉しそうな笑顔で答えてくれた。しかし、一番楽しいときは一番不安なときでもあるという。いくら事前に図面を見て並べ方を決めても、いざ現場でつくり始めると、その通りになることはほとんどない。本を並べながら考えるのは、クライアントや本を手にとる人に満足してもらえる本棚が出来ているか。スケジュール通りにやれるだろうか。「すっごい不安ですよ。でも、やっぱりそれが一番楽しいですね。」と、内沼さん。悩み、迷い、焦り、不安、困難、生きていく上で邪魔なように思えるそれらが、楽しさを生み出す要素の1つになるときもありそうだ。

10年後、何をしているか分からない自分でいたい。

 近々numabooksは下北沢に「B&B」という本屋を出店する。そこでは、本だけではなく雑貨も販売し、毎晩本の著者等によるトークショーが行われ、お酒も飲めるそうだ。コンセプトは『これからのまちの本屋』。今日、果物屋や、スーツの仕立て屋、米屋といったように、昔商店街では成り立っていた個人経営というものが成立しないものになってきている。街の本屋の現状も同様だ。街の中にある本屋は、街の知的好奇心や文化の渦の中心であるべきだと内沼さんは言います。それがなくなれば、まちは薄っぺらいものになってしまう。今日成り立たないものになってきている個人経営の本屋さんを成り立つモデルにすること。それが、numabooksの今の目標だ。内沼さんはそうやって、直近のビジョンをひとうひとつ丁寧に熱心に実現してきた。内沼さんは「10年後こうなりたいから今こういうことをするって、つまんないじゃないですか」と言った。私は、はっとした。自分の今やっていることが、将来何の役に立つのかなんて、それほど重要なことではなかったのかもしれない。「10年後の自分のことなんて分かりたくない。10年後何をしているかわからない自分でいたい」という内沼さんの言葉を聞いて、そう思った。

メッセージ

numabooks
所在地 〒154-0001 東京都世田谷区池尻2-4-5 IID世田谷ものづくり学校112
URL : http://numabooks.com//index.php

編集後記 取材 ・張佳翔|Photo : 飯島隆

誰にも知りえない遠い未来のことよりも、目の前にあるものひとつひとつと真剣に向き合って、今いる人を大事にしようと思いました。「B&B」の完成が、今から待ち遠しいです!

次回は、内沼さんに紹介して頂いた文芸誌「界遊」(http://kai-you.net/news/)の武田さんにお話を伺います。
「すべてのメディアをコミュニケーション+コンテンツの場」に編集・構築することを目的とする「界遊」。メディア社会学科としては、非常に興味のある分野なので、どんなお話が聞けるかとても楽しみです!

 

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