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プロフィール

大木洵人(おおきじゅんと)

1987年生まれ。
2009年、慶應義塾大学在学中に聴覚障害者向けの
手話ビジネスを展開する株式会社シュアールを設立した。

手話×ITで、聴覚障害者に快適な毎日を。

 聴覚障害者のための言語、手話。便利なツールではあるけれど、街中、職場、ネット上…どれをとっても、まだまだ手話が使える環境が整っているとは言い難いのが現実です。こうした不便を一つずつ取り除き、耳の聞こえない人が少しでも住みやすい環境づくりに挑戦しているのが株式会社シュアール。手話の遠隔通訳サービス「テルテルコンシェルジュ」、オンラインの手話辞書「スリント辞典」、手話による観光案内サービス「Shuwide」などさまざまな形で聴覚障害者の生活をサポートしています。現在シュアールグループの代表として活躍する若き社長、大木さんの素顔に迫ります!

手話の世界に娯楽を届けたい!

 手話との最初の出会いは中学2年生のとき。何気なくチャンネルを回したNHKの手話講座がきっかけでした。私たちが普段使う言葉にはない、手話の美しさに魅了されたという大木さん。大学に入学すると自ら手話サークルを立ち上げ、なんとわずか半年後には一青窈さんの手話のバックコーラスとして紅白歌合戦の出演を果たしました。もちろんこれには大木さんも仲間も大興奮。放送が終わり、年が明けてしばらくは紅白の話題で持ちきりだったといいます。

 しかし、数週間も経つとそんな思い出も新しい話題に塗り替えられ、次第に話題に上ることも少なくなりました。そんな中、手話を母語とする聴覚障害者の間では春が過ぎ、夏になっても紅白の話題が持ち出されることに気づいた大木さん。手話の世界には圧倒的に娯楽が少ないということに気づかされます。どうにかして彼らにも健常者と同じように娯楽を提供したい。そんな思いからできたのが、後に現在のシュアールグループとなるボランティア団体リンクサインでした。

「怒り」に突き動かされて。

 ボランティア団体の代表として大木さんが最初に取り組んだのが手話を使った旅番組でした。自分の専攻であるITの技術を活かしてWeb上で番組を放送しようと考えたのです。番組づくりに夢中になり広島、茨城、山口と様々な街へ旅行を重ねた大木さん。初めて聴覚障害者と生活をともにするうちに、娯楽が少ないこと以上にもっと深刻な問題が見えてきたと言います。

 たとえば火事や事故など緊急事態に巻き込まれたとき。耳が聞こえる人ならば当然かけられる110番に通報することすらできない。「こんな最低限のインフラが整っていないことに怒りにさえ近い感情を抱きました」。人間の行動を後押しするうえで一番強い感情は怒りだと大木さんは語ります。命にかかわる問題があるのにも関わらずそれを放っておいた社会、そして手話を学びながらもそれに気づくことなく暮らしてきた自分自身に対して、大きな怒りを覚えました。その怒りに突き動かされ、大学2年生という若さで起業という決断を下したのです。

たまたま起業で、たまたま社長だった。

 大学2年生での起業。同年代である私には考えも及ばなかった大きな決断です。わずか21歳にして自分の人生を決めることに不安はなかったのですか?と質問したところ返ってきた答えはNO。当時あったのはただ問題を解決しなければならないという強い使命感だけだったといいます。「逆に言えば起業でなくてもよかったんです。先生として子供たちに現状を教えてあげる、政治家として国をあげて解決に取り組む、記者として問題を訴える…どれをとっても障害者にとって暮らしやすい環境をつくるという目的は果たすことができたでしょう。ただそのなかでたまたま一番自分に合ったものが起業という選択肢だった」。と大木さんは言います。

 「気が付いたら起業していた、くらいの思いなので今でも社長と呼ばれるのには違和感がありますね」。と語る大木さんが目指すのは、障害者が特別扱いされない時代。大統領に黒人が選ばれたり、女性であっても社長として認められるようになったり…一昔前までは考えられなかったようなことが少しずつ当たり前になってきている今。不自由を完全になくすことはできなくても、それを限りなくゼロに近づけることで、障害があっても健常者と同じような可能性が得られ、同じようにチャレンジできる。そんな時代が一刻も早く来てほしいと願っています。

メッセージ

株式会社シュアール
所在地 所在地:神奈川県藤沢市遠藤4489-105
慶應藤沢イノベーションビレッジ
事業内容 1.手話通訳サービス
2.手話関連製品の研究・開発・製造及び販売
3.手話に関するイベントの企画及び運営
4.インターネットを利用した各種の情報提供及びサービス
5.前各号に附帯する一切の事業
会社URL : http://www.shur.jp/

編集後記 取材 ・高見 悠里|Photo : 飯島隆

 大学生の頃から自分の進む道を定め、社会で活躍してきた大木さん。同年代の学生として、本当にかっこよく見えました。

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