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プロフィール

浅原 明男(あさはら あきお)

1974年静岡県生まれ。大学では自然地理学と農業地理学を専攻。大学卒業後は東京の辺境地専門の旅行会社に就職。その後退社し、ネパールのトレッキング会社に就職。その経験を日本でも活かすために、ヒマラヤトレッキング専門店サパナを創業。

お客様の「やりたい」を叶えるトレッキング。

「ヒマラヤに行ってみたい」。
もしあなたのおじいちゃんが言ってきたら、どうしますか?
「それは無理だよ。危ないよ」。
ほとんどの人がそんな言葉を投げかけるでしょう。
しかし、ヒマラヤトレッキング専門店のサパナはそんな夢を叶えます。たとえば、ヒマラヤに咲く高山植物を写真に収めたいといったなら、高山植物がたくさん咲く夏のヒマラヤへ。高齢であることはもちろん不安。だから食事には体に優しい日本食メニューで、突然のけがや病気も万全に対処します。
このようにお客さんがトレッキングにおいてやりたいこと、見たいもの、行きたい場所の要望にできるだけ答え、その人自身に合わせたトレッキングを計画し、同行します。ヒマラヤという標高が高い場所で起こりやすい高山病にも、事前の対処、症状が現れた後のケアを手厚く整えています。浅原さんがお客さんと一緒に作っていくオーダーメイドのようなトレッキングサービスを始めるまでには、どのような経緯があったのでしょうか。

「高山病のせいで行けなかった」と言わせたくない。

大学生のころに行った、インド。そこで、浅原さんはお金を盗られ、病気にもかかるという災難に見舞われます。しかし、その時に通りかかったバックパッカ―の日本人の男性に助けられ、なんとかことをしのぐことができました。その方は、「一度でいいからネパールに行き、ヒマラヤを見てくるといい。ネパールの人たちは気さくだし、ヒマラヤは本当にきれいだ。」と言います。浅原さんは早くインドから出たい気持ちもあり、すぐにネパールに直行。ヒマラヤの光景や近辺に住む人たちの優しさに感動。したそうです。予期せぬ災難もあり、あまり気の休まらなかったインドと対照的であるのが印象的でした。

そんなヒマラヤの魅力をもっと知りたいと、ヒマラヤのランタン村の農業を卒業論文のテーマに書くことを決意。論文を書くための研究材料や情報を集めるために現地に1年滞在し、卒業しました。そして、就職は東京の辺境地専門の旅行会社に勤めます。「旅行って自分の中ではツアーとかそういう団体行動ではなくて、自分で切り開いていくものだと思っています。先進国に興味がなくて、辺境地に行きたいなと」。

その後、ネパールのトレッキング会社に転職し、ポーター(荷物持ち)からトレッキングの経験を積む中、あることが気になり始めました。「欧米の人はみんな楽しそうに歩いていたのですが、日本人はみんなどこか苦しそうで。どうしてだろうと思ったんです。そこで聞いてみると、みんな高山病に苦しんでいました。高山病が原因で目的地に行けない人も多く、トレッキングを楽しむどころか、高山病と闘うことが前提になってしまっていたのです」。

「みんな」ではなく、「自分」に合わせて登る。

なぜ日本人は高山病に苦しむ人が多いのかを検証し始めた浅原さん。問題は日本人と欧米人の歩き方にありました。「日本人は習性として前の人や団体のペースに合わせて歩くんですよ。遠足の山登りでも、前の人についてきてって言われてきたと思うんです。しかし欧米人は自分のペースをしっかり持っていて、その通りに歩く。興味のあるものは立ち止まってみたりもする。歩くという行為を、日本人はこなすという感覚で、欧米人は楽しむ感じなんです」。

自分のペースで楽しみながら歩くことが、高山病の一番の予防策。そう気づき、浅原さんはこれからは日本人がトレッキングを心から楽しめるように、ガイド・サポートの面を重視したトレッキングをつくろうと決意します。

―トレッキングをするにあたって、気を付けていることはありますか。

「お客様の症状がいきなり出てしまったり、普通の観光旅行じゃ想定できないことを常に考えなくてはいけないですね。お客様の高山病を予防することはもちろんですが、私自身やガイド・サポートメンバーの健康や高山病の予防もしっかり行っていかなくてはなりません。楽しむにはまずチームメンバー全員の安全を考えることからだと思います」。

ヨーロッパの当たり前を日本にも。

お客様ごとに合わせたトレッキングの評判は上々。口コミが徐々に広まっていき、今ではお客様がお客様を連れてくる状態になりました。高齢の方もトレッキングをしたいと最近では問い合わせが多いといいます。

―こんな人にトレッキングしてほしいと思うことはありますか。

「体の不自由な方にもぜひ足を運んでもらいたいですね。健常者の方と同じルートを歩くことは、ヨーロッパでは当たり前なんですよ。ただ、ちょっと移動手段が違うだけです。日本は歩けなかったらできないと考える人が、まだまだ多いと思います。そうではなくて、どうやって一緒に歩くかを考えれば、楽しいと感じられるチャンスが増えるでしょう。こんなに素晴らしい自然がある。一度でいいから見てもらいたい。そう考えると、日本での生活も見方が少しでも変わると思うんです。僕自身、ネパールの人たちが、体の不自由な方にも健常者にも、分け隔てなく困っていたら助ける姿を見て、人の思いやりについても深く考えるようになりました。いつも気にしていなかったことにすこし気を使うことで、ほんとに視野が広がるんだなと実感しましたから」。

―トレッキングを通じて伝えたいことはありますか。

「山の自然って登るたびに表情が違うんですよね。季節、天候、その日によって全然違う。だからトレッキングには毎回新たな発見がありますね。こんな高山植物が咲いている。今日はヒマラヤが見えないとかね。あとは、山という共通の目的で知り合ったお客様同士でお友達になる方々が多いですね。そんなつながりをつくれることにやりがいを感じます。お客様にはいろいろ発見をして、つながっていってほしいと思います。そしたらきっと『楽しい』の輪が広がりますよ」。

メッセージ

サパナ
所在地 〒520-0866 滋賀県大津市石山寺辺町221-8
事業内容 高山病にかかり難い歩き方で、ヒマラヤトレッキング・登山
サパナ URL : http://www.sapanatrek.com/index.html/

編集後記 取材 ・栗山遠音|Photo : ムクメテツヤ (有)平塚正男写真事務所

ネパールでは自殺者がいないと聞き、驚きました。ネガティブという発想がなく、毎日楽しく生きることが根底にあるからだそうです。自殺者がいて当たり前という感覚は、ちょっと変だと気づきました。世界と日本を比べると、当たり前と思っていたことが当たり前じゃなかったという気づきがあって面白いです。

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