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プロフィール

出雲 充(いずも みつる)

東京大学農学部卒、2002 年東京三菱銀行入行。 2005年8月株式会社ユーグレナを創業、 同社代表取締役社長 同年12月微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に世界で初めて成功。

ミドリムシに夢を託して。

ミドリムシ。この言葉から皆さんはどんなことを連想しますか?中学校の生物の授業中に顕微鏡で観察して以来、ご無沙汰している方も多いのではないでしょうか。実はこのわずか0.05ミリメートルほどの生物には計り知れない可能性が詰まっているのです。ミドリムシは、学名で「ユーグレナ(euglena)」。「美しい目」という意味も持っているそうです。株式会社ユーグレナは、そんなミドリムシに秘められた素質にいち早く目をつけ、研究・開発を重ねてきた企業です。今回は、その創業者である出雲充さんにお話を伺いました。

バングラデシュで目にしたのは、食料の不足ではなく栄養の偏り。

株式会社ユーグレナの根底にある想いは、出雲さんが18歳、大学1年生のときにバングラデシュを訪れたときに生まれました。

「バングラデシュは非常に貧しい国と聞いていましたから、当時の私は子どもたちに何かお土産をもっていこうと考え、カロリーメイトを持っていくことにしたんです。でも、結構たくさんの量を持って行ったのですが、おなかが減っているという理由でカロリーメイトを欲しがる子どもは1人もいませんでした」。出雲さんも初めは、バングラデシュの人は外国人には少し格好つけて良いところばかり案内してくれているのかなと思ったりもしたそうですが、その予想は外れていました。「どんなにド田舎に行っても不思議と毎日美味しいカレーがでてくるんですよね」と話しつつ、熱いカレーを手で食べるのも大変でしたよと笑う出雲さん。

「結局、カロリーメイトはバングラデシュの人たちに必要とされていなかった。ところが、毎日の食事はカレーとご飯ばかりで、卵、魚、肉、野菜、果物は全然出てこないんです。おかずも何もない、カレー自体も具のない素のカレーでした」。

やっと辿り着いた答えは、ミドリムシだった。

出雲さんは、バングラデシュで実感した”栄養の偏り”がポイントだと思ったそうです。貧しい国では食べ物が単純に不足していると思ったのは勘違いで、世界中、米、麦、イモ、トウモロコシなどの炭水化物はむしろ余っている。これから地球の人口92億に増えても足りるくらいなのだそう。それでも世界では今でも多くの人々が栄養失調に陥っている現状がある。世界中で本当に必要とされているのは、“バランスよく栄養をとること“なのです。そこで出雲さんは効率よく栄養補給できるものはないか探し始め、大学3年生のときに”ミドリムシ“という運命の答えに辿り着きました。

今となっては幅広い業界の様々な企業とパートナーシップを組んで事業展開を進めているユーグレナですが、設立からここまでに至るのには多くの壁がありました。

「まず、2005年の8月に会社を設立したときには、ミドリムシを増やす方法が見つからず危機的な状況でした。『いやー、何でミドリムシ増えないんですかねぇ。どうしたらいいですかねぇ』 とアドバイスを求めて全国の色々な大学の先生を訪ねてまわっていました。せっかく会社をつくったのに、肝心の売るものがないという状況に焦りを感じていましたね」。

当時を振り返り、「もし自分ひとりだったらとっくに諦めていたと思うのですが」と出雲さん。共にユーグレナを立ち上げた、鈴木さんと福本さんという自分以外の2人の仲間がいたからこそ続けてこられたと言います。「私は自分の経験から、起業する際には1人でも2人でもなく3人をおすすめしています。2人の場合、喧嘩してしまったら調整役がいなくて分裂したままになってしまう。4人だと多数決で2-2に分かれたときに決断に時間がかかってしまう。ベンチャーにとって最も重要な資源は時間ですから、やはり3人がベストなんです」。

そして2005年12月には見事、ミドリムシ大量培養の開発に成功。よってユーグレナは2006年にその実質的なスタートを切りました。その時点から考えて、出雲さんは12年ごとにある程度の目標を立てて取り組んでいます。

2030年までにミドリムシの「わくわく」を日本全国へ、世界へ。

ー今後、ユーグレナで社会にどんなインパクトを与えていきたいですか?

「まず、ミドリムシがこんなに素敵なんですよって皆さんに広く知れ渡らせるのが2018年までに私たちがやるべき仕事だと思っています」。


出雲さんは、12年後の具体的な未来像としてさらにこのように語ってくださりました。「2018年には、ガソリンスタンドに給油をしに行ったらレギュラー、ハイオク、そしてミドリムシがある。そして店員さんが『値段は少しお高めですがCO2の出ない環境に優しい燃料いかがですか?』って薦めてくる。また、旅客機に乗った際には機長が「この飛行機はミドリムシで飛んでいます」アナウンスというアナウンスをする。そして機内食にはミドリムシクッキーが添えられ、“食べてよし乗ってよしのミドリムシ”が多くの人に浸透してゆく。こんなふうに、現在まだ研究の段階で私たちの大学の研究室の中にあるものを2018年までに世の中にお披露目していきたいですね」。

ーそして、さらに次の12年後の目標は?

「2018年以降は、ミドリムシのよさに気付いてくださるさらに多くの方々と一緒にミドリムシの生産を増やして行く予定です。また2030年までには、『日本ではミドリムシでこんなにわくわくすることが起こってます』というのを海外の方々にも伝え、ユーグレナの原点であるバングラデシュまでミドリムシを周知させたいと思っています」。

株式会社ユーグレナ
所在地 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプラナープラザ7F
事業内容 ミドリムシを中心とした微細藻類に関する研究開発及び生産管理、品質管理、販売など
会社URL : http://euglena.jp

編集後記 取材 ・永岡さやか|Photo : 国府まゆ子

実はユーグレナは、私がこころざし応援団に入る前からずっと取材をしたいと思っていた会社で、今回実際に出雲さんのお話を伺えて本当に嬉しかったです。取材の際にいただいた、青汁ならぬ”緑汁”も思った以上に飲みやすくてとても美味しかったです!

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