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プロフィール

ナカムラ クニオ

1971年生まれ。
6次元オーナー。
現在はフリーのディレクターとしてテレビ番組制作にも携わっている。


道前宏子(ドウゼン ヒロコ)

1981年生まれ。
6次元オーナー。
現在は6次元を運営する一方で、平日はライターや編集業を行っている。

6次元に行けば、結婚できる!(かも)

荻窪の商店街を少し進んだところにひっそりとあるカフェ「6次元」。

こじんまりとした店内はコーヒーと木のいい香りに包まれ、家具やインテリアからも温もりが感じられる落ち着いた空間でした。店主である中村邦夫さんと道前宏子さんが6次元をオープンしたのは5年前の2008年。ナカムラさんはそれまでテレビ局のディレクターを、道前さんもテレビの制作会社に勤めていました。5年前に今の6次元がある物件が空いたことを知り、独立を決意しました。「2人ともカフェやお店を運営するための知識が全くなかったのでたいへんでしたよ。コーヒーの淹れ方も分からなくて。とりあえずスタバでコーヒー豆買うか!みたいな(笑)」と、ナカムラさん。お店に出すメニューにも苦労したそう。「最初は地方の名産品なんかを出していたんだけど、メニューにのせても誰も注文しないんだよね。じゃあもうめんどくさいから卵掛けごはん出しとこうって感じで、裏メニューとして出すようにしたら、けっこうみんなおもしろがって卵掛けごはんが大人気になったんだよね。」6次元に集まるお客さんはみんな個性的。勝手に洗い物を始めたり、初めて来るのに手土産を持ってきたり、自分で焼いたケーキを無償でお店に提供して、その場にいるお客さん同士でシェアして食べたり。お客さん同士が仲良くなるのもしょっちゅうで、今までに何組ものカップルが誕生したそう。「最初の2、3年はどんなことがあってもおもしろがるようにしていましたね。そうすると日々いろんな事件が起こるんですよ。あまりにも事件が多いから、途中からは意図的に仕組んで、カップルを誕生させていたりしましたね。」とナカムラさん。道前さんはこれまでに、10組以上のカップルのキューピットを務めたそうです!もはやブックカフェの域を大きく超えている6次元ですが、実はメインは毎日のように行われている企画展。そこでも日々多くの繋がりが生まれています。

未来なんて、1日あれば変えられる。

「展示をすることによって、それぞれのコミュニティが合体する。展示はどうでもよくて、その後どうつながるかが大事なんですよね」とナカムラさん。「お互いの知り合いを交換しあうきっかけになるのが展示なんです。みんなただ展示すればいいと思ってるけどそういうわけじゃない。ここは、未来をつくっていく展示場なんですよ。そこで出会った人は友達になるし、仲間になるし、結婚することだってある。自分がやるっていうより、勝手に起こっていくんですよ。狭い場所に放り込まれたものたちは、私たちが何もしなくても勝手にコラボレーションし始めるんです。ここは、展示した人のその後の未来を変える場所でもあるんです」。2つ前の記事で取材させていただいたtaki*corporationの大滝由子さんがナカムラさん・道前さんと出会ったのも展示がきっかけでした。紙袋作家をやめようと思っていた大滝さんに、紙袋作家としての第2ステージを用意してくれたのは、6次元でした。未来は、1日あれば変えられるものなのかもしれません。ナカムラさんは6次元における自分を、「情報ソムリエ」だと言います。「Aの情報とBの情報が合うなと思えば、意図的2つを合わせる、接着剤みたいな役割ですかね。作品を上手く見せることよりも、そこに集まる人たちの構造に興味があるんです。その人に欠けてる部分をさがして、そのかけらをくっつけたり。本人が気づいていない才能を、第三者目線で引き出してあげるんですよ」。それはテレビ業界で働くなかで、普段は入れない場所に入り、日々多くの人たちを取材してきたナカムラさんだからこそできる業でした。

小さいものが、社会を動かす時代。

30代後半で行き詰まっていたナカムラさんは、今の6次元がある物件が売り出たことをきっかけに、1度テレビ業界を離れることにしました。「自分で何かを始めたいと思ってはいたんだけど、仕事がおもしろいからなかなか辞められなかったんだよね。だからここの物件が空いたとき、『今だ』って思った。ここは掘り出し物で、滅多に出ないからね」。2008年9月27日に、一部のファンの間ではかなりの有名店だったカフェ、ひなぎくが閉店。6次元がオープンしたのは、それからわずか3ヶ月後でした。「テレビ業界を離れるにあたって迷いは全くなかったですね。あれだけの名店がなくなることはすごいことで、ネタとしてもおもしろいと思ったから。周りはびっくりしたと思いますけど」。6次元はナカムラさんにとって、それまで培ったノウハウを活かす実験場所でした。「最小限の状態からどこまでマスになっていくのかが、1番やってみたかった実験ですね。全部自分が仕込んで、どこまで情報を操作できるか、ミニがどこまでマスに対抗できるかを見てみたかったんです」。オープン当初は、お店から新聞社にFAXを送って取材してもらっていたのが、今では新聞社や出版社の方から取材依頼がくるようになったそう。今年の5月には、代官山の蔦屋書店で村上春樹の新作発表のプロモーションに大きく貢献したのも、6次元でした。「僕はずっとマスメディアの中にいて、毎日怒られていました。自分がいいと思った原稿はいつも真っ赤になって返ってきます。僕は民放の放送局や制作会社といった、マスメディアの中では比較的小さなところからきたから、すごく下に見られるんですよね。屈辱的だしすごく悔しかったです。その反動もあってか、勝ち負けとかではないんだけど、小さいところから発信した物の方が影響力のある状況にしたいんです」。

実現したいことは口に出す。みんなお節介だから手伝ってくれる。

これまで、多くの若手作家やアーティストたちの企画展や発表会の後押しをしてきた6次元。「例えば、作家さんの発表も、小さいカフェで発表したとかはどうでもいいんですよ。大事なのは、そこで誰と知り合うか。そこから何を考えているか、次のステップにいけるかどうか。自己満足で発表しましたなんてのはどうでもいいんです」。6次元は、みんなが夢を実現する場所であればいいとナカムラさんは言います。「うちはお客さんがつくってくお店になっていってるから。やりたいことができないのは、環境の問題もあると思うんですよね。まずは、実験できる場所をもっと見つけていくべきです、うちみたいな。自分でモヤモヤしている場合は進まないことの方が多いから、そんなときは宏子さん(道前さん)に相談するといいですよ」とナカムラさん。実際に、以前ある女の子が、連句が好きでみんなに見てもらいたいと道前さんに相談したところ、「じゃあうちでやれば?」という道前さんの一言で、その女の子の夢は実現しました。「みんなお節介だから、手伝ってくれるんですよ。例えば自分が描いた絵をここに持ってくれば、その場にいる人たちは見たがるじゃないですか。ツイッターで『いい本屋さんありませんか?』って聞けば、みんなお節介だから教えてくれるんですよ。そんなSNSが、ここではリアルとしてあるんです。例えば本屋さんになりたいなら、『本屋さんになりたい』って10人に言ってみてください。絶対なれますから」。やりたいこと、始めたいこと、なりたいものがあるあなた。1度6次元に足を運んでみてください。あなたの見つけたいものが、きっと見つかるはずです。

メッセージ

6次元
URL http://www.6jigen.com/
著書 『人が集まる「つなぎ場」のつくり方-都市型茶室「6次元」の発想とは』
阪急コミュニケーションズ  著 ナカムラクニオ(10/24発売)
事業内容 荻窪駅のすぐ近く、中央線沿いにある白山神社と
荻窪の地名の由来にもなっているお寺「光明院」に挟まれた三角地帯
建物の名前もない1と1/2階の隙間にあるのがブックカフェ「6次元」。
カフェとしてだけだけではなく、
毎月様々なイベントや企画展を開催するための会場としても使われています。

編集後記 取材 ・張佳翔|Photo : 市川 智也(from AgeHA graph)

私自身大学の4年間メディアの勉強をしてきて、卒業後もメディア関係の仕事に就くので、ナカムラさんや道前さんがメディアをどう捉えているかというお話が聞けてとても良かったです。店内の本を良くみてみると、分かる人には分かる!という掘り出し物がたくさん。取材中に出していただいたお菓子の入った食器は、なんと本物の弥生土器!最近は主にイベント会場として使われていますが、週末はカフェとしてオープンしている日もあるそうなので、本や食器が好きな方はぜひ狙って行ってみてください!

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