コーポレートブランディングプロジェクト / 株式会社横手人形さま

社員15名、平均年齢52歳。
伝統を守りながら変わろうと挑む
家族企業とのプロジェクト。

  • コーポレートブランディングプロジェクト
  • 株式会社横手人形さま
株式会社横手人形さま

埼玉県日高市で、節句飾りを昭和20年代からつくってきた職人企業、株式会社横手人形さま。
魔を破る力があると言われる「破魔弓(はまゆみ)」づくりに高い技術を持ち、
他にも品質の高いひな人形、五月人形といった節句人形を扱っている。
伝統工芸を扱う歴史ある企業が、なぜ、パラドックスと? いったい、何を目指して?
企業というよりも「家族」に近い組織とパラドックスメンバーが取り組んだプロジェクト。

BACK STORY

2013.4 出会い

「うちみたいな会社のこと、考えてもらえるのですか……。」三代目からの電話。

横手人形の三代目社長、横手則和さんがパラドックスに電話をかけてきたのは、2013年春のこと。お父様である先代社長が亡くなり、事業を継いで、2年が経った頃だった。根っからの職人だったという先代社長からは、会社経営について教わることは一切ないままの事業承継。それから2年ほどは、先代がいた頃の影響力で会社はまわっていた。しかし、3年目くらいから、いよいよ自身の経営判断に会社がかかってきていると実感。父の真似ではなく、自分の経営へ。しかし、どうやって? それを一緒に考えるパートナーを則和社長は求めていた。

「パートさん含めて17、8人のうちみたいな会社がブランディングだなんておこがましいと笑われるだろうか……。」 考えていてもしょうがない、まずは話してみるしかない。ネットで調べるうちに知ったパラドックスという会社に何かを感じ、思いきって電話をしてみたのだった。笑われるどころか、むしろ、一度きちんとお話しましょうと、後日、青山の本社での面談をすることに。行ってみると、意外にも自分より少し年下で、気さくな雰囲気のパラドックスメンバーが、小さな節句飾りの会社に興味津々という姿勢で話を聞いてくれた。

「当初は、売上げを上げたい、商品のブランディングをして欲しいと頼むつもりでした。しかし、いろんなヒアリングに応えるうちに、あ、違うんだなと。まずその根っこになるものが自分にまだないと気付かされました。これはうちの会社の5年後、10年後への投資だと思い、パラドックスさんの力を借りて、会社の基礎づくりをはじめようと決めたんです。」(横手則和社長)

魔を破る力があると言われる破魔弓
魔を破る力があると言われる破魔弓

2013.5~ ミーティングを重ねる

秩父の山へ向かう列車で、本店を訪問。
築50年の工房に、新しい出会いがあった。

大まかなゴールイメージは持ちつつも、何をどうしていくべきかはクライアントと膝を突き合わせて話し合い、アイデアを出し合ってプロジェクトをつくっていくのがパラドックス流。今回、パラドックス側はクリエイティブディレクター、コピーライター、ディレクター、デザイナーというチームを組んで、社長とのミーティングを重ねていった。
横手人形さまの本店にも訪問した。都内から西武池袋線へ乗り継いでおよそ1時間半。高麗(こま)駅のホームから見渡す景色は、山々も迫る、心が洗われるような緑あふれる土地だった。10分ほど歩いたところで「横手人形」の看板を発見、山のふもとに工房と本店があった。築50年の工房の建物に入れていただくと、中では繊細な手作業の破魔弓づくりが行われていた。まさに「家内制手工業」という光景。パラドックスの若手メンバーにとっては父、母に近い年齢の社員の方たち。先代社長時代から勤務し、則和社長より社歴の長い人もいる。「変な人たちを社長が東京から連れてきた。」「あの若い人たちに何ができるの?」当初はパラドックスメンバーも奇異の目で見られていた。今までの経験にはないタイプのクライアント。戸惑いながらも、パラドックスメンバーも新しい出会いにワクワクしていた。まずは全社員にヒアリングすることからスタートすることとなった。

全社員での活動へ

エプロン姿の、ブランディング・セッション。

2013年7月には、パラドックスメンバーによる15名の社員一人ずつへのヒアリングと、全社員で集まってのブランディング・セッションが行われた。自分が大事にしていること、会社の課題だと思うこと、他の社員に対して思っていること、社長に言いたいことなど、社員の皆さんからの率直な意見を集めた。いろんな声を聴くにつれ、パラドックスメンバーが感じてきたのは、まるで家族のような組織だからこその良さと難しさだった。なんでも通じ合えているように思えて、すれちがっている想いもあった。意外なことに、全員に共通していた悩みは「飲み会が少なくなった」こと。もっとコミュニケーションすることを求めていた。先代社長との思い出、会社への思い入れを話しながら涙ぐむ人もいた。持っていた気持ちをお互いに確認し合う貴重な機会となった。
全社員ヒアリング、ブランディングセッションで集めた社員の皆さんからの言葉を、コピーライターが中心となってまとめたのが、「家族、大きくなぁれ」のブランドメッセージと、「家族愛の七カ条」という行動指針。「家族愛」という言葉は、もともと横手人形の社内にあった言葉だった。それを外に向けて発信したり、実践したりしていけるようにと、言葉の吟味に2ヶ月ほどをかけて、丁寧にまとめあげられた。

ブランディング・セッションの様子
ブランディング・セッションの様子

2013.9 ブランドメッセージ発信

「家族、大きくなぁれ。」あらためて外へ向かいはじめた意識。

こうしてできたブランドメッセージ「家族、大きくなぁれ」はお客様への約束として外にも発信することとし、まずはリーフレットをつくることに。デザイナーが三つ折りのミニリーフとして構成し、その冒頭には子どもの写真を入れようと提案。しかし、どんな写真を入れるかははっきりしていなかった。
そのとき、パラドックスメンバーが思い出したのは、横手家におじゃましたときに見せてもらった古いアルバムだった。製品づくりにも携わる則和社長のお母さまには、会社の隣りのご自宅でヒアリングさせていただいており、会社の歴史と切り離せない家族の歴史も教えていただいた。則和社長も知らない、おじいちゃんおばあちゃんの時代のお話も聞いた。たしか、そのときのアルバムに、古いけれどとてもいい写真があったはず! もう一度見せてもらえませんか。こうして実現したのが、則和少年と妹さんの写真が冒頭に載ったリーフレットだ。
これには昔からの社員や、今は引退している元社員の方までもが、一目で三代目の子ども時代だとわかり、喜んでくれた。先代亡き後、三代目則和社長の横手人形が始動していることを、「家族、大きくなぁれ」の願いとともに、発信しはじめることができた。顔が描かれて人形が魂を宿すように、横手人形という企業が三代目の笑顔とともに生き生きと動き出した。小さなリーフレットが、会社にとってそんな象徴的なものとなった。

三つ折りのミニリーフレット
三つ折りのミニリーフレット

2014.2 ある大雪の日。お客様からのお叱り

「いちばん変わってきたのは、私です。」走りはじめた三代目。

2014年の冬は、関東地方にも大雪が降り、配送会社に依頼した商品のお届けが延びてしまった日があった。どうにもならない配送会社の遅れとしてお詫びしたところ、お客様から「大雪は予測できていたはず、立派な理念や約束をWEBサイトで見ていましたから、残念です」そんなお叱りをいただいた。則和社長はそのとき、今まで以上に大きな期待が自社に寄せられていることに気付いたと言う。

「製品をちゃんとつくってさえいればよいのではなく、お客様に感動を提供すると声高に発信したからには、それに恥じない自分、会社にならなければと、パラドックスさんとのプロジェクトを通して、いちばん変わったのは私自身です。いろんな話をしたり、ツールづくりをすることで、もっと経営者としてちゃんと大きくなりたいなと思うようになりました。いい言葉、きれいなツールをつくっただけの自己満足に終わらせない。経営者の勉強会などにも参加するようになりました。」(横手則和社長)

家族手帳
家族手帳

2014.5 “家族手帳”完成。

家族のチャレンジは、始まったばかり。

言葉はまとまった。発信も始め、少しずつ手応えも出てきた。しかし、まだ理念を実践につなげる活動を社員の皆さんで継続していく必要がある。パラドックスは2週間に一度は横手人形を訪問し、ディレクター側からのアイデアを則和社長にぶつけていた。則和社長もフットワークよく東京にも来られ、ファミレスでいいから軽く打ち合わせしようといった、東京と日高市の距離をあまり感じさせない関わり方になっていた。そんな幾度もの話し合いのなかつくることになったのが、毎朝の朝礼で使う、理念や行動指針の載った手帳づくり。そこには一年のカレンダーを載せ、社員の誕生日と会社のイベント予定を記載することにした。綴じ方は寺地の提案で、こだわりの和綴じ製本とし、さらに社員の方たち一人ひとりに、自分の手帳は自分で綴じることで愛着を深めてもらう仕組みとした。

「必ず行こうと決めてカレンダーにも印刷したのが”日本一ツアーズ”という日本一を見に行く社員旅行です。第一回は八戸の櫛引八幡宮にある国宝の鎧をみんなで見に行きます。」(横手則和社長)

製造技術の継承、人材の育成、節句人形を飾る文化の普及、新たな商品開発や販売ネットワークづくりなど、横手人形にとってまだまだやることは多い。はじまったばかりの家族企業のチャレンジをパラドックスも応援しつづける。

横手則和社長
横手則和社長

お問い合わせ・お見積もりのご依頼はこちら

〒107-0061 東京都港区北青山3-5-15 ミヤヒロビル10F
TEL. 03-5414-5920 FAX. 03-5414-5921
ページトップへ

※敬称略

Site Map