株式会社パラドックス

HOME > トピックス > 【ソウルドアウトさま:事例紹介】〈祝!上場〉志をことばにする、ということ。

トピックス2017.09.08

【ソウルドアウトさま:事例紹介】〈祝!上場〉志をことばにする、ということ。

2017年7月12日に
マザーズ上場を果たしたソウルドアウトさん。
実はその半年前、私たちパラドックスに
「上場前に自分たちの志を言語化したい」
とご相談いただいていました。

そこで今回は理念開発プロジェクトの
担当責任者である
ソウルドアウトの長谷川さんをお招きして、
プロジェクトについてやこのたび言語化された
「志」についてお話させていただきました。

お相手は、パラドックスの広報・吉谷と、
となりの席に座っていた、
このプロジェクトを担当した布施のふたりです。

(この鼎談は2017825日におこなわれました)

半信半疑だった
「ブランディング」というもの。

ーー:
まずは、上場、おめでとうございます。

長谷川さん:
ありがとうございます。

ーー:
上場して、なにか変わりましたか。

長谷川さん:
世の中から見られている、という感覚が強くなったのはまちがいありません。

ーー:
上場する前のタイミング(2017年1月)で、パラドックスに「志の言語化」のご依頼をいただきました。その経緯は、なんだったのでしょうか。

長谷川さん:
もともとわたしは事業部門の責任者だったのですが、2017年になったタイミングで会社のブランドづくりを行うミッションを任されました。ところが、わたしは「ブランディング」なんていうものは門外漢で、非常に困っていました。

ーー:
はい。

長谷川さん:
実は、もともとダイレクトマーケティングの仕事に傾倒していた人間として、「ブランディング」ということばなんて信じていませんでした(笑)。

ーー:
なるほど(笑)。

長谷川さん:
ダイレクトマーケティングが「北風」だとすれば、ブランディングというのは「太陽」みたいなものです。これまではとにかくビュービューと風を吹かせていた自分が、それとは対極にある仕事を社長から任されたのです。

ーー:
そこで、パラドックスにお声がけいただいたのはどうしてだったのでしょう。

長谷川さん:
うちの新入社員にパラドックスを受けていた子がいて、その子が「うちの会社の考え方と似ているブランディングの会社がある」と教えてくれたんです。

ーー:
新入社員の子が。

長谷川さん:
いろいろ調べてみると、たしかにソウルドアウトの価値観と通じる部分が多く、社内にもパラドックスのメンバーと交流のある人などがいて、親和性が高いかも知れないと思ってお問い合わせしました。

「ですます」と「である」が
混在している理由。

長谷川さん:
パラドックスさんとの初めてのミーティングは、今でも印象にのこっています。

ーー:
お問い合わせのメールをいただいて、初めてパラドックスのメンバーがおうかがいした日ですね。

長谷川さん:
予算面などで、もしかするとパラドックスさんにとって仕事にならないご相談かもしれないと懸念していました。ところが、「こういうところでお役に立てるかもしれません」とご提案してくださいました。その1時間のミーティングのなかで、「営業という機会ではなく、なにか目の前の人に与えて帰りたい」という姿勢を強く感じたのです。

ーー:
ありがたいおことばです。

長谷川さん:
その「ちょっとおせっかいなところ」がソウルドアウトと似ているし、おなじ武士道の精神というか、「志」ということを大切にしているところがいいな、と思いました。

布施:
ありがとうございます!そう言っていただけるとうれしいです。

▲となりでふたりの話を聞いている同プロジェクトを担当した布施です。
▲となりでふたりの話を聞いている同プロジェクトを担当した布施です。

ーー:
では、実際に今回のプロジェクトで完成したことばを見ていきたいと思います。

長谷川さん:
はい。よろしくお願いします。

ーー:
まず、この文章量ですね。パッと見ただけの印象としては、「伝えたいことがちゃんと書かれているんだろうな」という文字数です。

長谷川さん:
そうですね。実は、もともとは、この2倍くらいあったんですよ(笑)。

▲こちらが今回できあがったソウルドアウトさんの「私たちの志」。
▲こちらが今回できあがったソウルドアウトさんの「私たちの志」。

ーー:
これの2倍ですか!

長谷川さん:
はい。ここに書かれているような考えに至るまでの、創業時のエピソードなども書かれていました。

ーー:
けれど、思い切って、それをとった。

長谷川さん:
そうなんです。「読み手に伝わる」ことを考えたときに、どれくらいの長さがいいのか、ということを考え抜いたうえで、その部分は削除しました。

ーー:
なるほど。あと、全体的なこととして言えるのは、「である」と「ですます」が混ざっているのも特徴的ですよね。もしかすると「日本語文法としておかしい!」という声もどこかから飛んできかねない、というか‥‥。

長谷川さん:
あはは、まさに、そうです(笑)。

ーー:
でも、この「口調の混在」が大事な役目を果たしていると思います。たとえば、自分が手帳になにかをメモするとき、「ですます」で書く人はあまりいません。「今日も仕事頑張った」とか。それは、「自分に向けて書かれたことば」なので。そんな自分自身への語りというか、決意のようなところは「である」で書かれているのだと思います。

長谷川さん:
はい、はい。

ーー:
こういった「である」のことばは、「主語」をだれでも代入できるんです。つまり、これを書いた送り手のみならず、受け手の人も感情移入してその文章を読むことができます。なので、前半部分というのは、これを読んで共感する人に向けて書かれているんだな、と思いました。

長谷川さん:
まさにおっしゃる通りで、私たちのお客さまには、地方の中小企業の経営者の方がたくさんいらっしゃいます。経営者やリーダーの方が読まれた時に「まさに自分の気持ちを代弁している」と思っていただけたらと思っています。「自分も日本の潜在能力を信じている」とか「孤独と向き合って、悔しさを感じているけれど、チームで前に進もうと戦っている」とか。

ーー:
いっぽうで、「ですます」の部分は、社会や顧客に対しての「メッセージ」ですよね。相手にとどけることば、というか。だから、すこしていねいな口調になっているのだと思います。

長谷川さん:
そこまで深くくみとってくれる人は、なかなかいないと思いますが(笑)。でも、文法上の正しいかどうかだけではなく、純粋に読んでみてそういうことを感じられる方がいらっしゃればうれしいです。

ともに覚悟する。
ともに挑む。

ーー:
「商売」ということばが2回出てきているのも、興味深いです。ふつう、今では「ビジネス」という表現をすることが多いと思うのです。

長谷川さん:
この「私たちの志」をつくる上で大事にしていたことが、「顧客目線」ということでした。先ほどお話した通り、私たちのお客さまは地方の中小企業の経営者。その方々が使うことばを使うと、「ビジネス」ではなく「商売」だったのです。

ーー:
なるほど。社内向けのスローガンとして「商売繁盛!」ということはあるかもしれませんが、世の中に打ち出す理念のなかに「商売」と入っているのは、どこか「浪速の商人」の空気を感じさせますね(笑)。

長谷川さん:
はい(笑)。けれど、これを届けたい相手にとって、なるべく理解しやすく、違和感のない表現をめざした、ということです。

ーー:
そうですよね。あと、おもしろいなぁと思ったのが、この「時には」という部分です。

長谷川さん:
またマニアックなところを(笑)。

▲「そして、時には、‥‥」という一文があります。
▲「そして、時には、‥‥」という一文があります。

ーー:
すみません(笑)。けれど、この「時には」という3文字が、いかにこの会社が「おせっかい」かということを感じさせているなぁ、と思ったんです。

長谷川さん:
なるほど。

ーー:
「時には」ということはつまり、「アンタが言うなら‥‥!」ということですよね。この「相手のためなら」という「仁義」とか「誠意」とかそういう精神を、この「時には」から受け取りました(笑)。

長谷川さん:
ははっ(笑)。でも、それもほんとうで、人材採用支援などのサービスもどんどん生まれています。お客さまが困っている。それを本気でサポートしてよろこんでもらうことが、私たちの仕事のすべてだと思っています。

ーー:
それがまさに、「ともに覚悟する。ともに挑む。」という最後のことばに表れていますね。

ーー:
「覚悟」ということばを理念にいれるのには、覚悟がいると思うのですが。

長谷川さん:
おっしゃる通りです。そこは、社長とも時間をかけて話し合いました。

ーー:
「ともに」ということばがあることで、「私たちは本気の覚悟でお客さまに向き合います」という宣言だけではなく、「覚悟のあるお客さま、または覚悟をしていただけるお客さまが、じぶんたちの顧客である」と、遠回しに言っているようにも受け取れますよね。

長谷川さん:

もともと代表の荻原は、じぶんで起業して失敗した経験があり、そのとき、地方の中小企業のようなITに弱い立場にある経営者たちが、じぶんとおなじような境遇にならないように貢献したいという考えを持ちました。そういう人たちと、ともに覚悟して、ともに挑んでいきたい。これはずっと変わらない想いだと思います。

 ーー:
すばらしいです。

ーー:
長谷川さんは、今回のブランディングのプロジェクトの責任者として、ソウルドアウトという会社とパラドックスという会社のあいだに立っていただいていたかと思うのですが、苦労されたことも多かったと思います。

長谷川さん:
はい(笑)。

ーー:
よろしければお聞かせください。

長谷川さん:
たとえば、これまでじぶんたちが使っていたことばから、いかにジャンプできるか、ということですね。

ーー:
いかにジャンプできるか。

長谷川さん:
はい。やはり、代表の荻原にとっては、これまでじぶんが社内で使っていたことばが多くあります。一方で、今回パラドックスさんからご提案いただくことばは、これまで社長にとってなじみのあることばではないこともありますよね。

ーー:
はい。

長谷川さん:
そこを、いかに「社長の気持ちを適切に表現したことばであるか」ということや、「理念」という「そこではたらく人たちみんなのためのことば」ということを話し合って、だんだん納得感を得ていきました。

ーー:
長谷川さんだからこそできた仕事だったかもしれませんね。

長谷川さん:
そんなことありません(笑)。

布施:
すみません、ぼくも話していいですかー(笑)!

ーー:
もちろんです(笑)。

布施:
はじめて社長にお会いしたとき、得もいわれぬカリスマ性を感じたのですが、その社長にブランディングを任されたというだけで、長谷川さんはすごいと思います。

長谷川さん:
いえいえ‥‥。

 

布施:
実際に、理念ワーディングをしていくプロセスで、社長のことばをそのままいかすだけでなく、社長のほんとうの真意をことばにすることに本気というか、強い意思を感じていました。会社に対しても、社長に対しても、いつも真摯なのだと思います。

ーー:
まさに「覚悟」ですよね。

長谷川さん:
たくさん褒めていただきありがとうございます(笑)。

新しくなった名刺にも、
ソウルドアウトらしさ。

ーー:
あらためて、この「私たちの志」を見てみると、まさに長谷川さんのような人がはたらいているんだろうなぁ、という気がしますね。

布施:
人情味があるというか、そういう会社なんだよなぁ。あ、上場して新しくなった名刺を見せてくださいー!

長谷川さん:
はい、名刺ですね。

長谷川さん:
これが上場してから新しくつくった名刺です。

ーー:
この名刺も、おもしろいですねぇ!

長谷川さん:
おもしろい、ですか。

▲氏名の下にあるオレンジの部分に出身地と血液型、星座が書かれています。
▲氏名の下にあるオレンジの部分に出身地と血液型、星座が書かれています。

ーー:
「茨城県取手市出身。AB型・てんびん座。」っていうところが、コーポレートカラーのオレンジになっていて、ほかのどんな情報よりも目立っているんですよ。いい意味で、上場企業らしくない(笑)。

長谷川さん:
あはは(笑)。でも、実際、この情報が目立つおかげで会話のきっかけになります。

布施:
そういう「人と人のつながり」を大事にしたい会社なんだと思います。すばらしいですよねぇ。

長谷川さん:
今回、はじめて外部のパートナーと一緒になって、じぶんたちの会社の理念というか、志を言語化したのですが、社員たちの反応もおおむねよく、あとはじっくりと浸透させていくフェーズだなと感じています。

ーー:
理念はできてからがスタート、ですね。

長谷川さん:
はい。これからも会社として、そしてわたし自身も、より成長していきたいと思います。

布施:
わたしたちパラドックスも、全力で応援させていただきます!

長谷川さん:
心強いです。ありがとうございます。

ーー:
こちらこそ、本日はありがとうございました!

(おわります)

 

PDPR-2017-9-11-MON