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超高齢化社会に立ち向かう、訪問看護のパイオニア。
全社員の「北極星」となる、企業理念と経営方針書をつくるプロジェクト。

CLIENT:ソフィアメディ株式会社さま

  • 理念構築
  • 企業ブランディング
  • 採用ブランディング
  • インナーブランディング
  • 東京都

東京都内を中心に、全国約46カ所で訪問看護ステーションを運営するソフィアメディ。病院やクリニックではなく「家」という暮らし慣れた環境で、看護師やセラピストが難病を抱えるお客様のケアを行っている。そのほか、リハビリ重視型デイサービスや居宅介護支援事業所の運営など、医療・福祉関連の事業を幅広く展開。訪問看護の分野では、20年近い実績を持つパイオニア企業。

 

#プロジェクトの概要

大手介護サービス企業で20年以上勤務し、専務取締役も勤めた水谷和美氏(現顧問)がソフィアメディを起業したのは2002年のこと。急激な人口高齢化により今後病床数が足りなくなることを見越し、当時はまだ一般的ではなかった「訪問看護」を事業としてスタートさせたのが始まりです。「サービス業としての医療」「顧客視点」を徹底した結果、2012年には社員数250名、事業所数22か所を突破、2017年には城南4区(目黒区、世田谷区、品川区、大田区)でのシェア30%を達成するなど着実な成長を続け、高品質な訪問看護やリハビリサービスを確立しました。そして2018年、需要がさらに高まる中で、事業拡大を行っていくための組織改編を決意。水谷社長は会長となり、エムスリードクターサポート株式会社(現・株式会社シーユーシー)より新社長として山本遼太郎氏を迎え、より多くの方への訪問看護サービス提供を目指す「新経営体制」へと踏み出しました。

#1.課題

パラドックスに寄せられたご依頼は、新経営体制をつくっていくための「理念構築」と「経営方針書」のリニューアルでした。この背景にあったのは、「社会から訪問看護の需要が高まる中で、社員一人ひとりにとって心の拠り所となる理念をつくりたい」という想い。豊富な業界経験に基づきサービスの品質向上に努めてきた前社長と、その品質をさらに高めながら、サービスの全国拡大をミッションとして掲げる新社長。肝心な事業継承のタイミングでパラドックスに期待されたのは、全社員にとって「北極星」となる理念やストーリーを、社員とともに共創することでした。

この過程で大切な役割を務めるのが、「経営方針書」。経営方針書とは、前社長の時代から毎朝皆で読み合わせをしていた冊子で、ソフィアメディの社員が仕事をする上で大切にするべき想いやスタンスを書き記した、なくてはならないものです。時代の要請、理念の刷新、また社長の交代に伴い、新体制の想いを反映していくことが必要でした。

600名以上いる社員の、新体制に対する眼差しは様々でした。今まで培ってきたDNA、「自分たちらしさ」を大事にしたい方がいる一方で、新しい視点やアイディアを注入することでよりよい会社を目指したいという想いを持つ方もいる。

それぞれの想いを理解し、そして一つにまとめていくこと。理念を「作る」だけでなく、経営方針書を通して社員がどうあるべきか、どのような行動をとるべきかを言語化し、それを現場レベルに「浸透させる」こと。それを自分たちと同じ目線で手伝って欲しい、というのがパラドックスへのご依頼だったのです。

#2.解決の方向性

社員600名以上の想いを一つにまとめ、新たな経営体制を作り上げる。そんな壮大な課題解決を行うためには、ワーディング(経営理念などの言葉を作ること)だけではなく、同時に新社長と社員との間、そして異なる考えを持つ社員同士での議論が必要だと考えました。そこで経営層はもちろんのこと、ステーションやメンバーを現場で率いる管理者を含めたメンバー20名で、理念構築を目的とした「北極星プロジェクト」を発足。毎月2回程度セッションの場を設け、徹底的に互いの意見をぶつけ合うなかで、少しずつ皆の考えをまとめていきました。その後に、全社員が毎日触れる経営方針書をはじめ、ホームページやムービーなど、社内外に広めていくために様々なアウトプットへと落とし込んでいきました。

#3.具体的なフロー

プロジェクトは、下記の7つの流れで進めていきました。

 

 

①事前取材

②北極星プロジェクト(理念構築)

③経営方針書の編集セッション

④コーポレート・採用サイト構築

⑤ミッションムービー作成

⑥「ソフィア“WOW!”」プロジェクト冊子作成

⑦経営方針共有会

 

 

①事前取材

「北極星プロジェクト」のメンバー一人ひとりにインタビューを実施。各人の想いやメモリアルワークなどについて詳しくお聞きした他、訪問看護の現場に同行し、お客様とも話すことで、業務内容の理解に努めました。

 

②北極星プロジェクト(理念構築)

社長を含めたプロジェクトメンバー20名でのセッションを、月1〜2回×8ヶ月に渡り実施。パラドックスがファシリテーターとなり、社歴やポジションに関係なく、自由に意見交換を行いました。セッションを重ねる中、ソフィアメディや水谷顧問が培ってきたDNA、社員一人ひとりが大切にする価値観、また新社長が描くビジョンついての理解が深まったり、様々な意見をもつメンバー同士が互いを理解し認め合ったりなど、少しずつ会話が深まっていきました。

 

③経営方針書の編集セッション

毎朝、全社員が朝礼で読み上げる「経営方針書」。既存の経営方針書の役割を大切にしながら、新しい理念や描いていくビジョンを反映することを目指しました。理念策定のセッションにご参加いただいたメンバーに、3〜4名ずつのグループに分かれていただき、それぞれの専門性を活かしながらテーマ別で議論を行いました。新しく策定した行動指針に紐付け「相手本位」や「専門性」など、訪問看護師やセラピストに求められるスタンスを解説するページを設けたほか、社内の役割に準じた「リーダーのあり方」「人事のあり方」などについて話し合い、抽出された言葉をもとにパラドックスが草案を作成。この編集・添削をプロジェクトメンバー自身が担当し、自分たちの言葉へと仕上げていきました。

④コーポレート・採用サイト構築

北極星プロジェクトで形にした理念を社外や、これからともに働く仲間に広めていくために、コーポレート採用サイトを構築。「代表挨拶」に続く形でVISION(私たちが目指す未来)、MISSION(私たちの使命)、SPIRITS(私たちの行動指針)を表記したほか、採用コンテンツでは、社員の多彩な働きがいを紐解く記事を掲載。お客様や医療パートナーだけでなく、既存スタッフや新しく入社するスタッフに向けても発信していくことが目的でした。

⑤ミッションムービー作成

訪問看護という仕事に就くソフィアメディの社員達に、あらためてこの仕事の意義や素晴らしさを感じていただくほか、超高齢化社会に立ち向かうという決意表明をするために、ミッションムービーと題した映像作品を作成。スタッフが実際にお客様と向き合ったり、仕事をしている現場を撮影しコンテンツ化することで、よりリアルで伝わりやすいムービーに仕上がりました。

⑥「ソフィアWOW!」プロジェクト冊子作成

理念構築と並行して進めていたのが「ソフィア“WOW!”」プロジェクト。新社長が働きがいはもちろん、働きやすさにも全力で取り組みたい、という考えのもと始まったものです。ここで決定されたものの中には、「有給休暇の2時間単位取得」「マタニティ制服の貸与」「LGBTQの結婚・育児・就労支援」「ハローアゲイン制度(元社員の再雇用制度)」など、働く環境を支援する制度ばかり。これらの制度を社員皆にわかりやすく伝えるため、「桜井葉月」という架空のスタッフ(イラスト)が各制度を利用していく物語仕立ての冊子を作成。各ステーションに配布しました。

⑦経営方針共有会

2018年3月にスタートした上記プロジェクトの成果は、ソフィアメディが毎年4月に開催している全社会議「経営方針共有会」で発表することが決まっていました。発表は2019年4月。パラドックスはイベントに向け、上記プロセスと並行して会そのものの設計も担当させていただきました。全社員600名以上が一堂に会する大きなイベントです。北極星プロジェクトに参加したメンバーが自分たちの言葉で全社に向けてプレゼンテーションを行うことが大切だったため、司会や発表はプロジェクトメンバーが担当。1年かけて用意した理念、経営方針書、ミッションムービーなどを発表するとともに、承認とつながりの醸成を目的に作った新しい社員表彰制度「SOPHIA STARS」もお披露目しました。

#4.成果

1年間に及ぶ伴走により、理念ワードを作成して終わりではなく、世の中や社員への長期的な浸透を見据えた案件でした。以下は経営方針共有会終了後、ソフィアメディの社員様からいただいた言葉です。

 

「在宅ならではの良さに、改めて気づかされた。」

「方針書を読むと、お客様のために頑張ろう、と決意が芽生える。」

 

また、理念を軸に事業所数・従業員数ともに拡大をしており、事業所は39拠点から46拠点、うち365日対応の訪問看護ステーションは1拠点から12拠点へ拡大(2016年度と2019年9月の比較)。従業員数は2020年に1,000人を超える見込みです。社内でミッションやビジョンを叶えていくための推進部も立ち上がり、2020年には、リクナビNEXTが主催する第6回「GOOD ACTIONアワード」において、「ビジョン・ミッション・スピリッツに基づく抜本的な働き方改革」が評価され、ワークスタイルバリエーション賞を受賞されました。

 

今回作成した言葉、制作物、そしてセッションを通じてともに仕上げていったコミュニケーションが、「新しいソフィアメディ」の土台となってくれることを願っています。