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はかり屋魂を、どこまでも。

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「はかり」屋から、「計量・計測のトータルソリューション企業」への進化。

ものづくりの町、新潟県燕三条で110年以上にわたり、あらゆる産業の基盤となる「正確な計量値」を提供してきた「はかり」の製造会社である田中衡機工業所様(以下、敬称略)。彼らは今、「はかり屋魂を、どこまでも。」というスローガンのもと、培ってきた「はかり」の技術に最先端のテクノロジーをかけあわせ、計測した数値で顧客のビジネスを進化させる「計量・計測のトータルソリューション企業」になることを目指しています。

「変化」が生まれるまでの、多すぎる紆余曲折。

「理念を言葉として掲げたあの日から、音を立てて会社が変わり始めました」。田中社長はこれまでの道のりは決して平坦ではなかった、と語ります。「これまで100年以上はかりを作り続けてきた会社が、急にAIやIoTといった最先端技術の話をしはじめたので、社内には混乱が広がりました」。事実、長年現場一筋の古株社員たちにとって、掲げた理想はどこ吹く風。技術開発を一手に担っていた幹部社員が退職するなど、組織には激震が走りました。

そんな「これから」と「これまで」が一つの組織の中で乖離している状況の中、理念策定のプロジェクトメンバーでもあったひとりの部長が立ち上がりました。彼が注力したのは、理想にみんなで向かうためにも、まずは目の前の「働きやすさ」を高める施策でした。生産ラインの見直しを含めた改革を行った結果、生産量は増え、残業時間は格段に減少。同時に理念を噛み砕き、現場にていねいに伝達したことで、少しずつ現場の社員たちのなかにも「会社が変わろうとしている」という実感が生まれていきました。

その変化の追い風として、コーポレートサイトを、理念を軸としつつ「伝統」と「革新」の両方が伝わるものへと刷新。それが功を奏してか、採用面では複数名の優秀なエンジニアたちが入社したり、本業での取り組みがメディアにとりあげられるなど、進化は加速度的にスピードアップしています。この現状に対して、田中社長は「これまでは、いまいち実感、実体の伴っていなかった理念というものに対して、いまは全社員が少なくとも理解をし、同じ方向を向いてくれているように感じます」と語られました。

「はかる」ことから、一次産業に革命を起こす。

そのような状況の中、実ビジネスのほうでも大きな変化が生まれはじめています。昨今、社会的に課題となっている「労働人口の減少」は、一次産業において深刻な状況を招いています。担い手が今後も減少傾向にある以上、農業、漁業、畜産、あらゆる領域で新しい生産方法が求められている。その課題に対して、田中衡機工業所が取り組んでいるのが、「データを活用したスマート肥育」の社会実装プロジェクトです。

養豚と魚の養殖、ふたつの領域ですでにはじまっているこのプロジェクトのポイントは「いかに生産を最適化するか」ということ。各領域における従来の「はかる」という行為を見直し、計量・計測で集めたデータを複合的に分析することで、育てる側と育てられる側、双方のストレスを軽減するような肥育方法を考案。少ない労働力でも、生産数をあげられる仕組みをつくることによって、一次産業を担う各社の経営改善に貢献しています。畜産分野のプロジェクトは現在、(株)Eco-Pork社や鹿児島大学(共同獣医学部、小澤 真准教授)など、複数のパートナーと共同で進められており、「データ活用型スマート養豚モデル」として、農水省のスマート農業実証プロジェクト(令和2年)にも採択されています。

「とは言え、まだまだ課題は山積み。それでも、社員たちと一緒に考えながら、地道に変化を起こしていきます。」

社長のこの言葉に象徴されるように、掲げた理想に向かって、事業と組織を進化させ続ける田中衡機工業所。ビジョンとして掲げた「計量・計測のトータルソリューション」が社会に実装される日も、そう遠くないはずです。

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あとがき

日本は創業100年を超える長寿企業が多いことで知られていますが、その秘訣は世の中の変化に応じて「変わりつづけること」であり、「進化しつづけること」であるということを、身を以て証明されているのが田中衡機工業所のみなさんです。日本にとどまらず東南アジア各国でも、さまざまな業界で「正確な計量値」を提供し、社会の信頼の基盤を支えている彼らの進化は、多角的かつ先進的で、その姿は創業数年のベンチャー企業さながら。変わりつづける強さを持った企業だけが、世の中から求められつづけることができる。そのことを強く感じさせていただいた田中衡機工業所のみなさまを、心から尊敬してやみません。

(担当ディレクター:井手)

田中衡機工業所:https://www.tanaka-scale.co.jp/